ポコ太です。今回は思想と音楽について。
…といっても物騒な話ではありません。音楽ソフトウェアにおける設計思想のことです。
Performer といえば、80年代~90年代は業界のデファクトスタンダードの一翼を担っていました。(遠い目)
Performer を使いたいからMacを買うというのが珍しくなかったのです。僕も当然の様にMacを選択し、Performerを購入しました。
Performer を使いたいからMacを買うというのが珍しくなかったのです。僕も当然の様にMacを選択し、Performerを購入しました。
それがいまや…(虚ろな目)
今回は、なぜ自分は今でもDPを使い続けるのかというお話。
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よく「いまどき、なんでDPなの?」と尋ねられる。
とりあえず「自分の制作スタイルはMIDIがメインだから」と答えておく。
一応今でも『DP = MIDI編集に強い』というのは定説として残っているようだ。…というか使ったことがない人には、もはやそれ以外にウリが無いようなイメージすら持たれている。
ただ "MIDI編集に強い" と言うと、なにか他のソフトウェアにはない凄いエディット機能が付いているように聞こえるが、そこに関してはいまどきのソフトウェアはどれも一通りのことが出来るし、どんぐりの背比べだと思う。
では、何が違うのか?
一つ、とてもシンプルな例を挙げてみる。
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実は15年くらい前、1年ほど別のソフトに浮気をしたことがある。当時いよいよ本格的なソフトシンセの時代が到来したものの、そちらの方面にDPはからっきし弱かったからだ。
乗り換えた当初はかなり文化の違いに戸惑ったが、半年もすればさすがに慣れた。
しかし1年経っても慣れなかったことがある。
それがMIDIのイベントリストだ。
まずは、現在の Logic と SONAR のMIDIイベントリストを見てみよう。(クリックで拡大します)
パッと見て、どこが和音か分からないのだ!
和音とは?などと論じ始めると趣旨からそれるので、ここでは『完全に同一時間上で発せられる2つ以上の音』と定義して話を進める。あくまで『単音』との対義語と考えてほしい。
Logic と SONAR。どちらも全てのデータが等価に並んでいて、それぞれが単音なのか和音を構成しているのか分かりづらい。
なにもこれは Logic と SONAR に限った話では無い。
こちらは最新版の Cubase のMIDIイベントリスト。
この通り、大差無い。
やはりパッと見て、どれが和音でどれが単音か掴みにくい。
画面右側で判断すればいいのかもしれないが、目線を左右しなくてはならないし、今度は逆に一見同時に鳴っているように見えつつ、実は数ティックずれているものがあっても気付きにくい。
(MIDIデータは数ティックずれただけで想定した音とは変わってしまうものがある。また、それを意図的に行う場合もある)
最後にもうひとつ、Singer Song Writer の後継である新鋭の ABILITY も載せておく。
最後にもうひとつ、Singer Song Writer の後継である新鋭の ABILITY も載せておく。
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では DP のMIDIイベントリストはどうなっているか?(クリックで拡大します)
矢印の部分に注目してほしい。同一時間上のものは一つ一つの区切り線が消え、大きな塊として表示される。
音だけではなくコントロールチェンジやピッチベンド情報等も含め、同一時間上にあるデータが一目瞭然である。
お分りだと思うが、これはけっして技術的に高度なことしてるわけではない。やろうと思えば他のソフトでも簡単に出来るはずだ。
やろうと思えば簡単に出来ることを何十年経ってもやらないということはつまり、他のソフトウェアはMIDIのイベントリストを『データ』リストとして捉えているからだろう。
その点、DP は無味乾燥な数字の羅列になりがちなイベントリストですら、データではなく『音符』リストとして捉えている様に感じる。
実際、自分は鍵盤もマウスも触れることなくイベントリストにデータを直書きしていくこともままあるのだが、この表示方式のおかげで、今自分がどの位置にどんな音を打ち込んでいるのか、音を出さずとも迷子になった事はない。
このようにDPの良さはカタログスペックに表れにくい「ほんのちょっとした考え方・捉え方の違い」というものが多い。使っている者ですら普段は『良さ』として認識できず、他のソフトウェアを使って初めて逆説的に気付くというレベルだ。
なので、先のように「なんでDPを使っているの?」とか「オススメのシーケンサー(DAW)は?」と尋ねられても、なかなかズバッとは答えにくいのだ。
あえて言うならこうなる。「DPの設計思想が好きだから」
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なお、Pro Tools に関しては同じような表示に設定することが出来るようです。
MIDIに関しては弱いという印象があった Pro Tools ですが、ここ数年、かなりのスピードで進化を遂げているようで、自分としても注目しています。
MIDIに関しては弱いという印象があった Pro Tools ですが、ここ数年、かなりのスピードで進化を遂げているようで、自分としても注目しています。
というわけで今回は、ある程度以上の年齢の方達には絶大なブランドであり、ある程度以下の年齢の方達には「え?でぃーぴー、っすか??」などと二度聞きされてしまう、我が愛しのDPのお話しでありました。
音楽ソフトの設計思想については、また別のソフトについても書く予定です。
んじゃ、また。