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2015年7月14日火曜日

[特撮-01] 漢の死に様を見よ

さて、いよいよ始まる特撮エントリー。
記念すべき第一回の主役は「仮面ライダーV3」(1973)第32話に登場した彼、オニビセイウチである。



…と言っても大方の反応としては『誰?!』だろう。
むしろ特撮に詳しい人の方が反応に困ると思う。周りに特撮ファンがいれば試しに聞いてみればいい。おそらく次のような説明以上の答えは返ってこないはずだ。

『V3に破れたドクトルG(ゲー)に代わって新しく登場した大幹部「キバ男爵」率いるキバ軍団の一員。鬼火を操る』

確かにオニビセイウチはこれ以上でもこれ以下でもない。

というのも、
・別に強敵だったわけでは無い。
・なにか特別重要なエピソードに登場した訳でもない。
まあ率直に言って、いわゆるひとつの『雑魚怪人』である。

こちらがキバ男爵
( 演=郷鍈治氏は宍戸錠の弟にして、ちあきなおみの旦那様♡)

しかし、ただ一点においてオニビセイウチの名はポコ太の胸に深く刻まれている。



それは彼の死に様である。



まず一般的な怪人の死に様を思い起こしてほしい。

1番メジャーなものは、やはり何と言っても "爆発"
その爆発が大きければ大きいほど、ヒーローの強さが、そして我々視聴者に与える爽快感が増すという心憎い職人技だ。

また初期のショッカー怪人などに見られた "溶けて消える" というのもなかなか素人には真似のできない名人芸である。この場合は『後始末を考えなくてよい』という点においても優れていて、まさに立つ鳥跡を濁さずである。

その他 "仲間に粛清される" というのもイレギュラーな手法ながら、その実、結構見かける。



ただ皆さん、基本的なことを忘れてはいませんか?



ではここでオニビセイウチの死に様を見てみよう。

V3必殺の "V3フル回転キック” をまともに喰らってしまったオニビセイウチ氏。
普通ならここで爆発しておしまいである。

ちなみにこの後、本当に当たる。
昭和の撮影は無茶苦茶…もとい、体をはりまくっているのだ。

が、しかし彼はなんとかこれを持ち堪えた。
血を流しながら敗走するオニビセイウチ氏。

実はこれ、爆弾を仕掛けたアジトにV3を誘き寄せるという、彼にとって最後のミッションなわけだ。
また番組制作側としては、前回初登場のキバ男爵とV3の面通しをするという意味もあるのだろう。

というわけで、デストロン怪人としての使命とストーリー上の要請を一身に背負い、瀕死の重傷を負いながら逃げるオニビセイウチ氏。

その血痕をたどりながらデストロンのアジトへと乗り込んだV3が見た光景がこれ ↓



キバ男爵の膝下に崩れるオニビセイウチ氏。
これはいわゆる粛清パターンか?!と思った瞬間、キバ男爵の放った言葉に幼き日のポコ太は目から鱗が落ちた。



そのセリフとは…「たった今、オニビセイウチは息をひきとった」



息を…ひきとる…?!
そうだ、カエルだってオケラだってアメンボだって死ぬときはみんな息をひきとるんだ。怪人だって息をひきとるのは当然じゃないか!ついつい爆発などの派手な演出に気をとられて忘れていた大切なことを教えてくれたオニビセイウチ。僕は君を一生忘れない。必ずその偉業を21世紀に語り継ぐんだ。(注)

(注)語り継ぎました。




というわけでこのエントリーはおしまいなのだが、ここで本エントリー最大の衝撃が…。なんとこの話、次回も続くのである!!
こんな雑魚怪人について語ることが、まだあるのかよ?!とお思いだろうが、(力強く)ある!とだけ答えておく。


次回、オニビセイウチ完結編『ヒーローの答え』にご期待ください。